小林 攻成田市長の平成17年度施政方針
平成17年2月18日開会の定例議会の初日に小林 攻成田市長は平成17年度にかかる市政の取り組みにたいしてその方針の決意を次のとおり述べられました。
平成十七年度小林攻成田市長 施政方針
平成十七年二月十八日
平成十七年三月定例市議会の開会にあたり、成田市政を預かる者として、平成十七年度の施政方針と所信の一端を申し上げ、議員各位並びに市民の皆様のご理解とご支援をお願いする次第であります。
さて、昨年、ギリシャのアテネでは第二十八回オリンピックが開催され、各国を代表するアスリートの活躍に、世界中が沸き立ちました。
特に陸上ハンマー投げの室伏広治選手をはじめ日本人選手のめざましい活躍は、我が国の名声を高めるとともに、私たちに夢と希望と大きな感動を与えてくれました。
また本市においては、市制施行五十周年という大きな節目の年を迎えるとともに、成田市・下総町・大栄町合併協議会の設置、成田空港の民営化など新たな時代への胎動が始まった年でありました。
しかしながら一方では、災害が多発した年でもあり、国内においては豪雨や台風、そして新潟中越地方を襲った大地震、また、国外においてはインドネシア・スマトラ島沖地震に伴い発生した未曾有の大津波により、甚大な被害が発生するとともに、尊い人命が奪われました。これら災害の犠牲となられました方々に対しまして、心より哀悼の意を表するとともに、被害に遭われた方々、そして今なお不自由な生活を余儀なくされている方々に、心よりお見舞いを申し上げる次第であります。
わが国経済は、穏やかな景気の回復が続いているとはいえ、マクロ的には未だ長期にわたる景気の低迷期にあり、地方税収は依然伸び悩んでおります。
現在、国および地方公共団体は、構造改革と地方分権の大きな流れの中にあり、国においては改革を基本路線とし、「国から地方へ」「官から民へ」の方針の下、権限と財源を地方へ移譲することで、地方の自主性の発揮と、住民や企業の活力による持続的な発展を図るとしております。
一方、地方公共団体は、自らの意思と努力、自らの能力と責任において、自らの幸福を追求する地方自治新時代の入り口に立ち、それぞれが持つ特徴を活かした自治体運営を模索、実践する必然性が益々強くなってきております。
本市においても厳しい財政運営を余儀なくされる中、平成十七年度予算の編成にあたりましては、行財政改革を通じて各種事業の見直しを行うなど、最小の経費で最大の効果を求めるとともに、新たな時代にふさわしい新生成田の創造に向け、
空港を活用したまちづくり
市町村合併によるまちづくり
先進的な環境都市を目指したまちづくり
安全で安心して暮らせるまちづくり
活力ある観光・産業のまちづくり
人材を育み、文化の振興を図るまちづくり
充実した保健・医療・福祉のまちづくり
以上七つのまちづくりを掲げ
一般会計では対前年比一・四パーセント増の四百三十三億円、特別会計、水道会計を加えた全会計では対前年比一・二パーセント増の六百二十三億円の予算を編成し、本年もサービス・スピード・セーフティの3Sを行政執行の基本姿勢とし、より信頼される市政を創り上げ、九万九千成田市民の負託に応えてまいりたいと考えております。
まず、「空港を活用したまちづくり」についてであります。
成田国際空港は、昭和五十三年の開港以来、国際交流の活発化とともに着実な発展を遂げ、国際航空の分野において、旅客数で世界第八位、航空貨物取扱量で世界第二位となっており、世界の航空ネットワークの最重要拠点の一つへと成長しております。
しかしながら、一段と激しさを増す空港間競争の時代にあって、国際拠点空港としての役割を十分果たし、増大する航空需要に応えるためには、二五00メートルの平行滑走路の完成は必要不可欠であります。
地元成田市といたしましてもこの実現に向け、国、県、空港会社とともに最大限の努力をしてまいる所存でございます。
また、空港機能の一層の充実を図る意味から平成二十二年度開業予定の成田新高速鉄道や、千葉ニュータウン地域と空港を結ぶ北千葉道路の整備を促進するとともに、空港に関連した都市機能を充実させるため、都市計画道路である郷部線や久住駅前線の完成を図ってまいります。
さらに、空港の持つ魅力、活力を最大限に活かすため、空港周辺地域の新たな土地利用を計り、更なる活性化に努めるとともに、国際空港を擁する地域ブランドとして空港周辺自治体二市七町一村とともに「成田ナンバー」の創設に向け努力してまいります。
騒音対策・共生策につきましては、空港の民営化後においても後退することがないよう、引き続き適切かつ確実な実施が確約されているところでありますが、今後とも、きめ細かな騒音対策の実施、騒音監視体制の整備等、更なる充実に努めてまいります。
次に、「市町村合併によるまちづくり」についてであります。
成田市・下総町・大栄町一市二町による合併協議は、事務事業の調整や新市建設計画の策定が終了いたしました。この一年をふり返りますと、限られた時間の中で膨大な事務事業の調整ができましたことは、議員各位並びに市民の皆様のご理解とご協力の賜であり、心より感謝を申し上げる次第でございます。
今後は、平成十八年三月二十七日の合併期日を目指して、合併協定の調印、各議会における議決を経て、県知事への合併申請を行う予定となっております。
どうか今後とも、議員各位並びに市民の皆様のご支援、ご協力を切にお願い申し上げる次第でございます。
次に「先進的な環境都市を目指したまちづくり」についてであります。
本市は恵まれた風土を持つ北総台地に位置し、利根川、印旛沼をはじめとする水辺、また、各地区に点在する寺社境内地の樹木、斜面緑地、里山などがあり、私たちは良好な市民生活を維持していく上で、これらの豊かな自然を次代に引き継ぐとともに、自然環境と生活環境が調和した、環境にやさしい「持続可能な循環型社会」を構築していかなければなりません。
そこで、環境管理の国際的規格であるISO14001を十七年度中に取得し、環境への負荷の少ない『環境自治体』を目指してまいりたいと考えております。
また、本市の大きな懸案となっておりました新たなごみ処理施設の建設については、この度、地元地区のご理解とご協力をいただき、新清掃工場整備事業が本格的に着手される運びとなりました。ここに地区住民の皆様方に対しまして心より感謝を申し上げる次第でございます。
本事業につきましては、平成十七年度より環境影響評価手続きに着手し、より安全で安心かつ無公害に徹した施設とするため、機種選定や施設整備計画の策定等を進め、早期の完成を目指してまいります。
また、身近な生活環境の整備としては、南三里塚駒井野線をはじめとする市道の整備、東町緑地をはじめとする公園の整備や土地区画整理事業、下水道整備事業の促進に努めてまいります。
また水道事業につきましては、第七次拡張事業が本年度をもって達成される見込みであることから、公津西地区の土地区画整理事業地内の飲料水の確保等、新たな水需要に対応するため、平成二十六年度を目標年次とする第八次拡張事業計画を策定し、生活用水の安定供給に努めてまいります。
さらに、市民の足となる公共交通機関である、バス運行の改善強化を図るため、この四月よりコミュニティバスの実証運行を開始することといたしました。運行路線につきましては、久住地区及び三里塚地区からそれぞれ、市役所、保健福祉館、成田赤十字病院などの公共公益施設を結ぶ二路線となっており、今後実証運行の中で地区住民の要望を生かしながら、平成十八年度の本格運行に向け努力してまいりたいと考えております。
次に「安全で、安心して暮らせるまちづくり」であります。
冒頭にも申し上げましたが、昨年十月の新潟県中越地震、十二月のインドネシア・スマトラ島沖地震に伴う大津波は、自然の脅威の恐ろしさをまざまざと示すものとして、私たちの記憶に新しいところであります。市民生活の安全を確保し、安心して生活できるまちづくりを推進することは、行政に課せられた責務であります。
本市においては、私たちの回りに潜む様々な危険に対処する部署として昨年の四月から生活安全部を設置し、鋭意その取り組みを強化してまいりました。今後も急傾斜地の崩壊対策や橋梁の耐震補強を行ない自然災害に備えるとともに、防犯灯の整備など、交通防犯体制の強化に努めてまいります。
また、消防体制では消防力の充実という観点から、引き続き救急救助活動の充実強化、耐震性貯水槽などの施設整備や機材の充実を図るとともに、仮称でありますが、新たに消防公津分署の整備を推進してまいりたいと考えております。
次に、「活力ある観光、産業のまちづくり」についてであります。
本市は、関東一の霊場「成田山新勝寺」、そして日本の空の表玄関である「成田国際空港」を擁する国際観光都市であり、国の内外から訪れる多くの観光客のニーズに対応した観光情報の提供、またイベントや施設の見直しなど、新たな取り組みが必要となっております。
特に、門前町としての風情と景観の残る表参道地区については、引き続き街並みの保全整備に努めるとともに、歩道整備の推進、成田観光館リニューアルの検討を行ってまいりたいと考えております。
また、空港周辺地区については、空港との結びつきを基本とした新たな観光資源の創出に努めてまいります。
商業の振興につきましては、引き続き低迷する景気の中で、それぞれの地域特性に合致した商業活動を支援するとともに、中小企業資金融資制度を確保し、中小企業者の利用に支障の無いよう努めてまいります。
農政では、引き続き優良農地の保全と担い手の確保・育成を重点課題とし、農業生産基盤の着実な整備を推進するとともに、食の安全に対する消費者意識の高まりを踏まえ、直売所、市民農園等、都市と農業の交流を推進し、魅力ある成田の農業づくりに取り組んでまいりたいと考えております。
次に、「人材を育み、文化の振興を図るまちづくり」についてであります。
成田市の将来にとって大切なことは我々に続く次代の若者を育成することであります。また地域文化を育てるために大切なことは、多くの市民が生涯を通じ学ぶことの喜びを知ることであります。
このような観点から、まず、学校教育では、児童生徒ひとりひとりの個性に応じたきめ細かな指導体制の充実を図り、基礎学力の向上に積極的に取り組むとともに、それぞれの学校や地域での創意工夫を生かした、特色ある教育活動を展開してまいりたいと考えております。
また、本市は平成十五年に国際教育推進特区の認定を受け、現在小学校六校に英語科を設置しているところでありますが、平成十七年度は八校に拡充し、外国人英語教師による実践的な英語教育の充実を図ってまいりたいと考えております。
また、学校施設整備については、引き続き公津の杜小学校の建設を推進するとともに、美郷台小学校及び久住中学校の建設に着手してまいります。
昨年、本市ではスポーツを愛し、スポーツを通して、健康で活力に満ちた明るく豊かな市民生活を実現するため『スポーツ健康都市』を宣言いたしました。
本年は、全国高等学校総合体育大会千葉県大会が開催され、本市において柔道、卓球、ソフトボールの三競技が行われることから、会場の準備や選手、役員並びに大会関係者の受入れ態勢に万全を期すとともに、この大会を、本市の生涯スポーツの更なる振興・発展に繋げてまいりたいと考えております。
生涯学習では、多様化する学習ニーズに対応するため、生涯学習に関する総合的な情報の収集と提供に努めるとともに、教育の原点ともいえる家庭教育の充実に努めてまいりたいと考えております。
特に生涯学習の拠点となる図書館、公民館については、市民ニーズに対応したサービスの提供、また市民の多様な学習意欲に応えるため、講座や教室、セミナーの充実を図ってまいりたいと考えております。
次に「充実した保健・医療・福祉のまちづくり」であります。
まず、本市における保健・福祉サービスの拠点である保健福祉館では、昨年全ての機能が整い、様々な活動を行っているところであります。本年度は急病診療所、マザーズホーム等、市民ニーズに対応したサービスの充実を図ってまいります。
次に、児童福祉対策といたしましては、平成十七年度が「次世代育成支援行動計画」の初年度であることを踏まえ、子育て支援等を積極的に進めてまいります。
特に、吾妻小学校の余裕教室を利用して吾妻児童ホームを設置するほか、現在建設中の公津の杜小学校にも児童ホームの設置を進めてまいりたいと考えております。
また、三里塚複合施設内には子育て支援センターを開設するほか、児童保育、子育て事業の充実に努めてまいります。
次に、高齢者の福祉対策といたしましては、高齢者の方々が生きがいを持って健やかに生活できるよう健康づくり事業の充実に努め、介護保険事業につきましては、平成十八年度から始まる第三期介護保険事業計画の策定を進めるとともに、より一層の介護サービスの向上を図ってまいります。
また、障がい者福祉につきましては、障がいがある人が地域で自立して、安全に生活できるよう、各種支援事業、サービス等の提供に努めてまいります。
これらの保健福祉事業につきましては、本格的な少子高齢化社会を間近にし、国においても将来に向けた諸制度のあり方について検討がされており、併せて国と地方の役割についても大きく変わってくるものと思料されますので、より注意深く動向を見極めていく必要があると考えております。
以上が、平成十七年度に向けての施政方針と私の所信とするところであります。
時代は、大きな変革期を迎え、既存の社会システムの制度疲労を受けて、諸制度の構造改革が喫緊の課題となっております。
二十一世紀の新たな時代にふさわしい社会システムを構築し、市民の皆様が真に豊かさを実感できる社会を実現するためには、地域が持つ活力を十分活かし、将来に負担を残さないシステムを創り上げることが必要であります。
このためには、相当の覚悟と努力が必要であります。
私も市政を預かる者として、本年を実行の年として位置付け、当面する市政の諸課題に全力で取り組む覚悟でございます。
議員各位の絶大なるご支援と市民の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げる次第でございます。
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